チョコとショコラ。
一般的には、チョコレートは英語、ショコラはフランス語という区別の仕方をすると思います。でも、お菓子の世界では、この2つは全く異なるモノなんだな、と思い至った事件(!?)がありました。
ある輸入食品の商社から、「うちが仕入れている素材を使ったお菓子を作ってほしい」との依頼があり、いろいろ検討した結果チョコレートを使ったお菓子を作ることになりました。
メニューを考える上で参考にしたのが、フランスの古典的なチョコレート菓子「アマンド ショコラ」。このアマンド ショコラって、お店で買うと結構高いんですよ アーモンドにチョコレートがかかっているだけなのに何でこんなに高いの!?と私はそう思っていました。
いましたが、、、
実際においしいアマンド ショコラについて調べ、アマンド ショコラのおいしさの秘密を解き明かしていくほど、「こんなに手のこんだお菓子だったのか」と気づき、価格にも納得したのです。
アマンド ショコラを作る際、まず下味をつけるため、そしてチョコレートの絡みを良くするめに、キャラメリゼします。キャラメリゼした後は冷風にかざして乾かし、テンパリングしたチョコレートを絡めます。このチョコレートがけを約3回繰り返します。
その都度テンパリングし、乾かし、テンパリングし………の繰り返し 手間隙かかるし、大量のアーモンドを仕込む場合は乾かす場所も必要だし、ほんとにほんとにやっかいなお菓子!!
どうしてわざわざチョコレートがけを繰り返すのかと言うと、薄いチョコレートの層を作ることによって、サクサクホロホロの口どけの良い食感を出すとともに嵩を増す(大きくする)効果もあるそうです。
単純に大きくしたいだけなら、適当な型にチョコレートを流し込み、真ん中にアーモンドを埋めて固めればOKですよね。いわゆるアーモンド入りチョコレートです。スーパーやコンビニで市販されているお菓子でよく見かけます。
でも、これではどこまでいってもチョコレートの域を抜け出せません! “アーモンドチョコレート”ではなく“アマンド ショコラ”であるためには、ちゃんとした理由が必要だということですね 職人さんが「どうしたら、より一層おいしく食べられるか」を追求した結果生まれたアマンド ショコラは、やっぱりフランス菓子なんです!!
そして、今回試しに作ってみたお菓子がこれ。テンパリングしたチョコレートをかけた後の状態です。
右の写真、よく見ると左右でチョコレートの質感が若干違うのわかりますか? 右側はマットな感じで、左側がピカピカ光ってる感じなんですけれど、写真じゃちょっと伝わりにくいかもしれませんね。
テンパリングは、要するにチョコレートにつやを出すための作業なんですが、上げたり下げたり細かい温度管理が必要で、これまた難しい作業なんです。で、マットになってしまった右側のものは失敗作なんです……やっちゃいました
そしてこの写真が、さらにチョコレートがけを繰り返してから、ココアパウダーをふりかけたもの(できあがり)です。と、とりあえずパウダーふってしまうので、艶出しに失敗したものもこうして最終工程で使ってしまいました
それにしても、チョコレートをショコラに変える世の中のショコラティエさんは、毎日こんなに手間隙かかる作業をしてお菓子作りに励んでいるのかと思うと、心底尊敬します。食べるのは簡単だけど、作るのは半端ないほど大変です。