子どもを授かったことや子どもが自立したことよりも、「お互いの両親が死んで初めて主人と夫婦になれたような気がする」と話してくれた女性がいる。
わたしの母親ほどの、わたしが大好きなその女性は、会うたびに何かしら心に残る言葉を残してくれるが、「親がいなくなって初めて夫婦になれた」は、ほんとにぐっさりとわたしの胸に突き刺さった。
わたしは、一生付いていこうと真剣に思った人と結婚したけど、結婚して4年目になる今でも、ときどき、いやかなりの頻度で、自分の両親と連絡を取り合い、何かにつけて帰省している。そのことを、主人は「おもしろくない」と思っていることはわかっているし、わたしも「早く親離れしなくてはいけない」と思ってはいる。
33歳にもなって、両親を心の拠り所にしてしまっている自分自身を早く卒業しなくては、と思っていた矢先に、尊敬する女性から「親が死んで~」の言葉を聞いて、衝撃を受けた、というわけです。
「なんだかんだ言って、自分の親が一番大切なのよ」とその女性。両親が死んでできた心の穴を埋めてくれたのが旦那様で、ようやく、全身で、旦那様とつながれたということかもしれない。
わたしは、主人と家族になるために結婚した。それは、子どもを作るとか、両親と縁を切るとかじゃなくて、もっともっと心の問題に関わってくることなんだろうな。
主人と歩むことを望みながらも、きっとどこかで常に、両親が生きている限り、両親のことを想う自分を捨て切ることはできないと思う。そのジレンマに、今も、これから悩まされると思う。
血のつながりを乗り越えて、赤の他人と家族になろうとしているのだから、簡単にできるはずがない。でも、その女性が言うように、両親を失ったとしても、わたしには主人がいるし、その主人と絆を深めて、いつかほんとの夫婦になれる日が来るなら、これからの長い道のりも楽しいものだと感じられるような気がする。
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